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2011 年度 実績報告書

小胞型抑制性アミノ酸運搬体とGABA合成酵素の共役とその慢性疼痛による変化の解析

研究課題

研究課題/領域番号 21600019
研究機関生理学研究所

研究代表者

石橋 仁  生理学研究所, 発達生理学研究系, 准教授 (50311874)

キーワードGABA / グリシン / グルタミン酸 / パッチクランプ / 慢性疼痛 / 中枢神経系
研究概要

慢性疼痛時の中枢神経系において、抑制性ニューロンに起こる機能変化に関与する分子機構の解明を目指し、本申請研究では、抑制性シナプス前神経終末部の小胞型抑制性アミノ酸運搬体(VIAAT)とグルタミン酸を基質にGABAを合成する酵素(GAD)に着目した。慢性疼痛時には、末梢からの興奮性入力が増加し細胞外グルタミン酸が増えることから、培養細胞系を用いて、細胞外グルタミン酸の抑制性シナプス伝達に対する影響を検討した。実験にあたっては、抑制性細胞にVenusが発現したラット脊髄から培養細胞を作成し、シナプス前とシナプス後細胞にパッチクランプ法を行って、10秒に1回の頻度でシナプス前細胞を刺激することによりGABA・グリシン伝達を誘発した。細胞外にグルタミン酸を投与すると、GABA作動性抑制性シナプス後電流(IPSC)は著明に増強された。低親和性のGABA受容体拮抗薬の効果から、シナプス間隙におけるGABAの濃度はグルタミン酸により高まったことがわかった。一方、グリシン作動陛IPSCの振幅に対してグルタミン酸は無効であった。しかし、低親和性のグリシン受容体拮抗薬の作用から、シナプス間隙におけるグリシン濃度は低下していることがわかった。以上の結果から、グルタミン酸の取り込みにより、GABA放出は増加し、グリシン放出は減少することがわかった。さらに、GABAによるシナプス伝達とグリシンによるシナプス伝達の違いについて検討した。GABA伝達は高頻度刺激では振幅が抑制されるものの、コントロール時の30%程度を維持した。一方、グリシン伝達は、高頻度刺激中ではほぼ完全に抑制された。従って、細胞外からのグルタミン酸取り込みがGABA伝達を増強する意義は、GADとVIAATの共役を介して高頻度シナプス伝達に際してGABA伝達を維持するためであると考えられた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Taltirelin, a thyrotropin-releasing hormone analog, alleviates mechanical allodynia through activation of descending monoaminergic neurons in persistent inflammatory pain2011

    • 著者名/発表者名
      Eto K, Kim SK, Nabekura J, Ishibashi H.
    • 雑誌名

      Brain Research

      巻: 1414 ページ: 50-57

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Inter-regional contribution of enhanced activity of the primary somatosensory cortex to the anterior cingulated cortex accelerates chronic pain behavior2011

    • 著者名/発表者名
      Eto K, Wake H, Watanabe M, Ishibashi H, Noda M, Yanagawa Y, Nabekura J
    • 雑誌名

      Journal of Neuroscience

      巻: 31 ページ: 7631-7636

    • 査読あり
  • [学会発表] グリシンとGABA共放出シナプスにおけるシナプス伝達制御機構2012

    • 著者名/発表者名
      石橋仁
    • 学会等名
      第89回日本生理学会大会
    • 発表場所
      松本文化会館(長野県松本市)
    • 年月日
      2012-03-29
  • [学会発表] TRHの慢性疼痛に対する作用とその機序2011

    • 著者名/発表者名
      石橋仁
    • 学会等名
      第34回日本神経科学大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2011-09-17

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公開日: 2013-06-26  

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