研究概要 |
古写真のデジタル化(ネガ約25,000コマ、プリント約8,000コマ)のデジタル化を終え、画像と連携するデータベースの構築を行った。このデータベースを利用して、ネガとプリントの照合、研究論文等に引用されている写真との照合を行い、写真情報の追加・修正を行っている。 前年に引き続き古写真の現地調査を実施した(厚岸大黒島、オホーツク地域、標茶町)。いずれの調査においても、古写真に不足する情報を追加するとともに、被写体の変化を追い、歴史資料としての価値を付与した。 現地調査が不可能である写真に関する調査も並行して実施した。(1)考古関連写真はほぼ全ての写真の撮影目的、時期の把握を終えた。(2)アイヌ民族関連写真については、現地調査と並行して北海道アイヌ協会の協力を得つつ聞き取り調査を行っている。(3)古写真を所蔵する北大植物園・博物館の所蔵標本を撮影した写真の照合を進め、クマ頭骨標本の情報を追加することが確認された(学会発表)。(4)北海道内各地域の研究協力者により、写真情報の追加を行った(十勝地方・道東地方・函館地方)。(5)バードフォトアーカイブス(東京)の協力を得て、鳥類を被写体とする写真の情報を追加した。 また、本研究の意義に関する広報活動として、北海道大学植物園において企画展示を開催した。 さらに、最終年度の研究・整理の方向性として、地域ごと、分類ごとに整理したうえで目録を作成する方針を定め、データベースのブラッシュアップに着手することとした。 平成22年度の研究においては、各古写真の情報の精度を高めるとともに、全体の把握に観点をおき、データベースを利用した調査・整理活動の効率化を図った。同時に、学会発表、展示活動を通じて歴史資料としての活用促進を意識したことで、研究協力者による展示活動(根室市など)、外部からの写真利用(利尻富士町など)が活性化している。
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