研究概要 |
本研究は、博物館教育学の研究者と認知心理学の研究者による学際的共同研究として、科学館の存在意義を社会に示す新たな評価手法の開発に向けて、科学館体験の長期記憶を多面的かつ体系的に調査することを目的としている。2009年度においては当初の研究計画に沿って、具体的に次の3つの調査を実施した。 調査1:北海道大学総合博物館の来館者への質問紙調査 調査協力者募集に応じた34名の来館者(市民、本学学生、他大学学生)に、展示観覧直後と1ヶ月後、半年後に、観覧に関する記憶を問う質問紙調査を実施した。質問紙は、研究分担者がこれまでの調査研究で活用してきた日本版の記憶特性質問紙(Memory Characteristics Questionnaire, MCQ ; Takahashi & Shimizu, 2007)を本研究用に改訂して用いた。 調査2:北海道大学総合博物館の来館者への面接調査 調査協力者募集に応じた16名の来館者(市民、本学学生)に、展示観覧直後と1ヶ月後、半年後に、観覧に関する記憶と、これまでの博物館と関わりなどを問う面接調査と、調査1と同様のMCQを用いた質問紙調査を実施した。 調査3:日本全国の科学館職員への質問紙調査 全国科学博物館協会に登録されているすべての科学館234館に、調査1と同様のMCQにプロフィールや幼い頃の科学館体験を問う設問を追加した質問紙を郵送した。94館293名から回答を得た。 以上の3つの調査について、MCQの回答データの入力と面接調査の録音書き起こしを終了した。関連する文献研究も行った。調査3については、記憶の内容と特徴、記憶の定着の度合いとそれに影響する要因の分析を開始した。調査1と調査2については、平成22年度に観覧1年後の調査を実施した後に総括的な分析を開始する。研究結果の学会発表やHPでの公表は、調査1と調査2の観覧1年後の調査を終えて総括的に分析した後、平成22年度以降に行う。
|