本研究は、博物館教育学者と認知心理学者による学際的共同研究として、科学館の存在意義を社会に示す新たな評価手法の開発に向けて、科学館体験の長期記憶を多面的かつ体系的に調査することを目的としている。平成23年度は当初の研究計画を発展させて、次の調査と分析を進め、研究成果を発表した。 *平成22年度に実施した中学生・大学生グループへの来館1年後の質問紙調査を実施し、回答を得られた中学生のデータを入力した。 *平成21・22年度に4回実施した大学博物館の来館者16名への面接調査及び質問紙調査のデータを入力し、抽出したエピソードごとに録画データを見ながら評定を行い、質的な分析を行った。 *平成22年度に3回面接調査を実施した北大生15名に対し、来館1年後の面接調査及び質問紙調査を実施した。データを入力し、抽出したエピソードごとに録画データを見ながら評定を行い、質的な分析を行った。 *北大総合博物館の思い出のエッセイ募集の締切を延長し、平成22年度分と合せて13名のエッセイの質的な分析を行った。 *平成21年度に実施した科学館職員への質問紙調査協力者のなかから、平成22年度に続いて新たに1館5名の職員への面接調査を実施した。 *3年間に実施した科学館職員への質問紙調査及び面接調査の総括的分析を行った。量的分析では、平成22年度に実施した大学生と高齢者への質問紙調査を対照群として捉えた。 *専門家・識者にヒアリングし、示唆をいただいた。 *研究計画を発展させたために、一部分析を終えていない調査もあるが、分析を終了した調査と、分析途中の調査結果から、博物館体験の長期記憶から博物館が人々に与える多様な影響力を明示し、これが社会における博物館の存在意義を示し得る評価手法になるかを総括的に検討した。 *博物科学会と日本科学教育学会で学会発表を行い、他論文を準備している。 *報告書を作成した。
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