研究課題
本研究の目的の半分は、2009年7月22日の皆既日食を4Kの超高精細の全天動画で撮影記録するだけでなく、遠隔地のドームシアターでリアルタイムに投影することである。我々は奄美大島に観測地を用意し、本州の4箇所のドームシアターとの間の広帯域ネットワークを用意し、撮影、記録、中継、投影に成功した。天候は薄曇りであったためコロナやダイヤモンドリングを撮影することはできなかったが、月の影(本影錐)が西から東に上空を通り抜けていく様子を撮影することに成功した。ドームシアター内にいた被験者は、これまで観測地でしか体験することができなかった本影錐の中に入る感覚を体験することができた。また、多くの被験者が高い臨場感を感じており「まるで現地にいるような感じがした」とアンケートの自由記述欄に回答していた。日食後は、録画映像を元に、より現地の状況に近い明るさやコントラストに編集加工した全天コンテンツを制作し、多くのイベントで市民に公開した。その結果、多くの被験者がそれまで持っていた皆既日食の概念を変えるなど、新しい日食映像を作ることに成功した。2010年7月11日には、南太平洋で再び皆既日食が起こるため、観測地の選定や機材の調達などを行っており、観測地は計画当初はイースター島であったが、より晴天率の高いフランス領ポリネシアのHAO環礁を候補地として現地の情報収集を行った。また、記録映像からより適切な露出条件などを求め、夕景などの撮影を通じて、晴天時での皆既日食の撮影に向けて試験撮影を続けている。また、日食以外のコンテンツとしてバルーンを使った成層圏からの全天映像の撮影にも挑戦している。
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Internet Conference 2009論文集
ページ: 91-99
映像情報メディア学会誌 63
ページ: 1385-1389