21年度には奄美大島での皆既日食では、曇天でコロナを見ることはできなかったが、4Kの超高精細の全天映像で撮影し、国内4箇所のプラネタリウムドームに生中継することで、日食によって周囲が暗くなるなどの環境変化が起こることを視聴者に実感してもらうことに成功した。そして22年度は晴天時の日食映像を撮影するために南太平洋のHAO環礁において皆既日食を撮影し、雲が多いながらも晴天時の日食の全天映像の撮影に成功した。しかし、これらの映像は観光学部棟の完成までは、天井高の高い5mエアドームを学内に展開する場所がなく、イベント会場において、一時的な公開実験しか行うことができなかった。23年6月に観光学部棟にドーム棟が完成し、それ以降、定常的に5mドームスクリーンに映像を投影できるようになり、学生などを被験者に多く投影評価実験を行っている。そこでは、全天映像と通常映像との比較、座席位置よる差、投影する映像の内容による差などの評価実験を行い、通常映像に比べて明らかに全天映像が高い臨場感を感じることができ、その結果、多くの人が実際の現場での体験を希望することが明らかになった。また、座席の位置では画像の歪の少ないドーム中心部ほど多くの項目で高い評価になる傾向も見ることができた。24年春現在、5月21日に日本各地で見ることができる金環目食の事前学習に、過去の日食の全天映像を活用しており、それらの成果については今後発表していきたい。また、本研究中に起こった東日本大震災においては、本研究の成果を応用し、津波被災地での全天映像の撮影と、その映像のドームスクリーンでの投影を行った。その結果、高い臨場感から通常のメディアの映像では伝えることができない津波被害の恐ろしさを表現することができ、防災教育での活用を始めている。この方面での研究は24年度からの新たな科研費のテーマとして吉住が提案し、採択されている。
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