本研究は、日本国内の研究機関や博物館に所蔵されている、台湾原住民に関する映像資料を探索し、その概要を整理・鑑定を進めることによって、所蔵機関相互の情報交換を促進し、また研究活動への活用の道を開くことを目的としている。初年度は、国立民族学博物館にある写真資料の鑑定を行ないたいと考えた。しかし、博物館との交渉の結果、当初予定していた個人コレクションについては、博物館側の特殊事情により、閲覧が認められなかった。これについては、コレクションの重要性を考えると残念であるが、将来の、しかもできるだけ早い時期の公開を期待したいと思う。 しかし、もう1つの馬淵東一写真コレクションについては閲覧が認められたので、清水、原、山本の3名が国立民族学博物館の協力を得て、写真現物を確認し、調査を行なった。これらは博物館において整理が始まったところであり、映像データベースを作成する予定であるという。現在写真の複写は認められないが、閲覧は可能であり、閲覧によってわかる範囲の写真内容の特徴や民族名を一覧にした。もともとあったキャプションや覚え書に加えて、写真の人物名なども判明したものがあり、今後さらに聞き取り調査などを加えることによって、詳細な内容が判明していく可能性があり、博物館側のデータベース化と歩調を合わせて、さらに細かい鑑定を進めれば、博物館の資料としての利用価値の向上にもつながると考えている。
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