研究課題/領域番号 |
21601006
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
清水 純 日本大学, 経済学部, 教授 (30192610)
|
キーワード | 台湾 / 植民地時代 / 原住民 / 写真 / 鑑定 / 電子化 / 浅井恵倫 / 鈴木満男 |
研究概要 |
本研究は、日本統治時代に撮影され、博物館・研究所等で長期にわたって保存されてきた台湾原住民に関する写真資料を探求し、(1)国内の学術研究機関に保存された写真資料の横断的相互関連付け作業を行い、(2)内容鑑定のための現地調査を通じて情報の質と精度を高め、(3)研究や展示への新たな資料活用方法の開拓を目指すものである。本年度の研究では、国内の調査に加えて台湾での調査、映像資料の発掘と相互比較および鑑定を行なう一方、写真をもとにした聞き取り調査、文献資料の調査を進めた。 現地調査では、連携研究者山本が、台湾の博物館や大学等が所有する日本時代の写真資料についての横断的調査およびパイワン、ルカイ、ブヌンなどに関する写真鑑定の実地調査を行った。連携研究者の原は3月に台湾調査をおこない、台東県のアミ族の写真鑑定を行った。このほか清水は鳥居龍蔵の平哺族写真と、日本植民地時代の戸籍調査資料との照合や研究成果をまとめた。また、昨年度の研究の過程で、遺族より使用許可を受けた故鈴木満男博士(文化人類学者)撮影の台湾調査時の写真を、デジタルカメラで撮影し、内容のインデックスを作成した。写真アルバムにはネガフィルムも含まれ、改装前の「埔蕃」の家族とその邸宅が移されているなど1970年代の台湾に関する貴重な資料である。これらは改めて24年度に保存のための電子化を行う予定である。土田滋教授寄贈のクヴァラン族写真については、枚数が少ないため、清水が電子化を行い、2012年夏に台湾で刊行される予定の論文に引用し、活用の実績とした。年度内に研究会を開く予定だったが、山本がほとんどの期間、台湾に長期滞在中であったため、3人の都合を合わせることが難しく、メールのみにて情報交換と報告を行った。 連携研究者:原英子<岩手県立短期大学准教授> 山本芳美<都留文科大学准教授>
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
連携研究者の山本芳美准教授が台湾に一年間滞在することになり、現地での調査時間が十分に取れた。また、連携研究者の原英子が台東で調査を行った。これらの現地調査において住民たちへの聞き取り調査によって写真鑑定を行った結果、新たな知見を得ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は5年間の時限付きのプロジェクトであるが、その中間報告を兼ねて、昨年度までの3年間の成果をもとに、5月に成果報告のための研究会を非公開のシンポジウム形式で行う。また、現地での調査及び報告書の執筆を予定通り行う。この他、昨年度、ご遺族より譲り受けた故鈴木満男氏の1970年代の台湾調査写真データの電子化を進める。
|