研究概要 |
本研究の目的は、科学系博物館において博物館の学術標本の理解に重要なオーラル・ヒストリー(歴史証言の聞き書き)を博物館資料と位置づけデジタル・アーカイブ化し、コンテンツを展示・教育活動に活用する仕組みを構築することである。 今年度は、科学系博物館におけるオーラル・ヒストリーの効果的な記録、蓄積方法の検討を行うため、オーラル・ヒストリーの記録手法やデジタル・アーカイブ化について国立民族学博物館および岐阜女子大学において取材を行った。取材内容を参考に、(1)どこからでも簡単に情報の追加,編集が可能で、(2)知的財産権,位置情報などのメタ情報もあわせて記録でき、(3)展示解説映像への活用も視野に入れ、展示企画者がインターネット経由で必要な動画や写真等を簡単に検索し展示企画に役立てられるような、動画のwebデータベースを開発した。 また、ストランディング個体の調査を含む、クジラ類の標本に関連する研究において重要な役割を果たした海棲哺乳類研究者に対し、第20回日本セトロジー研究会・北九州大会、18th Biennial Conference on the Biology of Marine Mammalsにおいて調査研究の経緯などについて聞き取りを行い、映像を記録した。 記録した映像の展示への活用については、岩手県立大学が開発した赤外線通信端末を用い、巡回展「クジラとぼくらの物語」において、クジラと人との関わりを記録した映像の配信実験を行い、携帯端末で記録映像を手軽に見られることに良い評価が得られた。
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