本研究の目的は、科学系博物館において(1)博物館の学術標本の理解に重要なオーラル・ヒストリー(歴史証言の聞き書き)を博物館資料と位置づけデジタル・アーカイブ化し(2)コンテンツを展示・教育活動に活用する仕組みを構築することである。 今年度は、昨年度構築したWebデータベースに関して、コンテンツの入力や編集の効率向上のための改良について検討を行った。まず、位置情報の入力効率を上げるため、Googleマップと連動した位置検出アプリケーションを開発し、地図上で場所をクリックするだけで世界座標系の緯度・経度情報を取得できるようにした。また、ユーザー間のコミュニケーション促進のため、データ投稿者以外も投稿できるコメント欄の充実を行った。このデータベース構築については、日本展示学会、日本教育情報学会、日本哺乳類学会で発表を行い、今後の博物館等におけるデジタル情報の記録及び発信手法として、高い評価を受けた。また、博物館が所有するWebサーバで動画配信のデータベースを常時運用することは負荷が大きいことを考慮し、FlickrやFacebookといった既存のソーシャル・メディアと本Webデータベースとの連携によるデータの投稿、保存時の負荷の分散や利便性の向上、野外調査時にスマートフォンを使って今年度開発したアプリケーションによる位置情報の取得と記録ができるようにする方法など、スマートフォンとソーシャル・メディアを活用することによる遠隔地からのデータ記録手法について検討を行い、来年度の実装に向けた準備を行った。
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