平成21年度に試作した文化財所在調査ソフトの試用およびブラッシュアップを行った。このソフトは、被災文化財調査の情報をどのように集約し、共有するかということ、実際の救出活動の優先順位をどう考えるかということが共通する課題に上ったため、情報を集約し、共有するためのツールとして開発することになったものである。このソフトは各所での災害、また様々な種類の災害に対応するため汎用性を持たせることに留意しGoogle Mapをベースに作成し、携帯電話などの端末からGPS情報とともに入力が可能で、他地域から応援に入った土地勘の乏しい人でも調査が可能となるように工夫してある。 また、実際に被災文化財救出作業、調査作業の従事した経験のある方々への聞き取りに基づき、作業場所の有無や道路情報などもあわせて表示するよう改良した。今後、災害危険度マップなど他の防災のコンテンツとあわせて使用することによって、文化財防災マップへの発展も考えられる。また、特に埋蔵文化財関係者への聞き取りによって、遺跡地図や埋蔵文化財の所在図作成への応用の可能性も広がった。 今後は、より効果的な運用を行うためのシュミレーションを重ね、どの規模の災害まで対応が可能であるか、などの活用条件を見きわめていく予定である。
|