本研究では、平成21年度において、神経幹細胞で特異的に賦活するnestinプロモーター/エンハンサーの下流に、初め、緑色蛍光タンパク質(EGFP)遺伝子を配した、次いで、中性アミノ酸トランスポーター遺伝子を配したレンチウィルスベクターを作製し、それらよりウィルス粒子を調製することで、感染神経幹細胞でEGFPあるいはトランスポータータンパク質を発現するin vitro遺伝子発現系を構築した。21年度には、EGFPあるいはトランスポータータンパク質を強制発現した神経幹細胞を、成獣ラット脳の脳室下帯に脳定位装置を用いて移植することで、その生体脳内における移動をin vivo蛍光イメージング装置により検出画像化することを行った。ここでは、加えて、神経幹細胞を移植後にosmotic pumpにより、既知の神経幹細胞増殖因子であるEGFとbFGFを、神経幹細胞の移植に引き続き脳室下帯に継時投与し、その増殖と遊走をin vivo蛍光イメージング装置を用いて生体脳で経時的に観察した。その結果、EGFとbFGFに応答性に移植神経幹細胞が増殖するとともに、神経幹細胞が非移植側の大脳半球にまで移動することが確認された。22年度では、トランスポータータンパク質を強制発現した神経幹細胞の生体脳内における動態を、小動物用PETを用いて検出画像化する予定であり、さらに、成体脳で神経新生に携わる内因性の神経幹細胞の動態を、in vivo蛍光イメージング装置及びPETによりin vivoで可視化する技術の開発を行うことを予定している。
|