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2009 年度 実績報告書

海産活性天然物を中心とした生体内生存ネットワークの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21603006
研究機関東京大学

研究代表者

福沢 世傑  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (40321806)

キーワード活性天然物 / アフィニティーカラム / リテラジンB / カリクリンA / 結合タンパク質 / オカダ酸
研究概要

オカダ酸結合タンパク質OABP2.1のX線結晶構造解析に成功した。オカダ酸の細胞毒性の標的タンパク質であるタンパク質脱リン酸化酵素とは全く異なる結合様式を示し、クロイソカイメン内におけるオカダ酸耐性機構に化学的な裏付けをすることができた。海洋生物は海洋と言う環境で生き延びていくために様々な自己防御手段を独自に進化させていった。なかでもカイメンの様な固着性動物で多くの共生微生物を抱え、その代謝産物を濃縮しても生存できる根拠の一例が今回示されたこととなる。カルシウム結合タンパク質から疎水性リガンド(オカダ酸)結合能を進化の過程で獲得し、OABP2.1では細胞毒であるオカダ酸を内部に取り込んで安定化し、その毒性を消去することが考えられる。オカダ酸以外にもカイメンなどの海産無脊椎動物はさまざまな生物活性物質(その多くは細胞毒性物質)を濃縮している例が多く、医薬品リード化合物の探索源として注目を浴びている。OABP2.1の構造の保存性が高いことを考慮するとOABP2.1のオカダ酸認識部位を他の細胞毒性物質の形に合わせて調節することで、それらを内部に閉じ込めることで毒性の消去による耐性を獲得している可能性が考えられ、今後海産無脊椎動物の生態の解明への一助になると考えられる。OABP2.1はカリクリンAとは結合しないことがすでに報告されており、カリクリン結合タンパク質が存在するならばおそらくOABP2.1との相同性が高く、内部の疎水性空間が結合する小分子に合わせて進化していったと考えられる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The effect of SDS and anion exchange silica gel on MALDI-MS analysis of proteins.2010

    • 著者名/発表者名
      Asanuma, M.; Fukuzawa, S.; Matsuda, T.; Hirota, H.
    • 雑誌名

      Rapid Common. Mass Spectrom. 23

      ページ: 1647-1653

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Skeletal protein protection : the mode of action of an anti-osteoporotic marine alkaloid, norzoanthamine.2009

    • 著者名/発表者名
      Kinugawa, M.; Fukuzawa, S.; Tachibana, K.
    • 雑誌名

      J.Bone Miner.Metab. 27

      ページ: 303-314

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Distribution and possible function of the marine alkaloid, norzoanthamine, in the zoanthid Zoanthus sp. using MALDI imaging mass spectrometry.2009

    • 著者名/発表者名
      Genji, T.; Fukuzawa, S.; Tachibana, K.
    • 雑誌名

      Mar.Biotechnol. 12

      ページ: 81-87

    • 査読あり
  • [学会発表] 海洋天然化合物生産微生物の同定2009

    • 著者名/発表者名
      福沢世傑
    • 学会等名
      第2回早稲田大学総合研究機構ケミカルバイオロジー研究所シンポジウム、動的平衡としての微生物共生系と天然物化学
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2009-12-25
  • [備考]

    • URL

      http://www.chem.s.u-tokyo.ac.jp/users/natural/research.html

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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