チョコガタイシカイメンDiscodermia calyxより単離されたカリクリンAをリガンドとするアフィニティー担体を合成した。各種分画後のタンパク質画分から紫外可視吸光スペクトルまたはマススペクトルによりカリクリンAを検出し、目的のタンパク質を追跡することに加え、合成した担体によるアフィニティークロマトグラフィーによって結合タンパク質を探索した。そしてD.calyxの抽出液を疎水性クロマトグラフィー(PhenylSepharose6FastFlow、(NH_4)_2SO_4 1M→0.5M→0.25M→0M)に処したところ、0Mの溶出画分からカリクリンAが検出された。また、この画分は脱リン酸化酵素活性を有し、SDS-PAGEにおいて37kDa付近にバンドを与えた。OABP1類似のタンパク質が含まれると考えられた。 伊豆半島産群体ホヤRitterella tokiokaより単離されたステロイドアルカロイド、リテラジンB(RB)に含まれる誘導可能な官能基は二級ヒドロキシ基のみであり、立体障害等によってその反応性も高くないことから、RBの誘導化は非常に困難であった。そこで、酸塩化物を用いてRBにアジド基を導入し、続いてヒュスゲン環化反応を用いることによってこの問題点を解決することを目指した。その結果、RBの樹脂上への固定化を達成し、アフィニティープローブを得ることが出来た。次に、群体ホヤを緩衝液中で破砕し、遠心分離によって可溶性画分を得た後、アセトン沈殿処理を行うことで内在性のRBを取り除き、合成したプローブを用いて精製を行ったところ、数種類のタンパク質が電気泳動ゲル上で確認された。さらに候補を絞り込むために競合阻害によって差を検出することで、RB結合タンパク質の有力な候補を見出すことが出来た。
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