研究課題
シグレックは免疫グロブリンスーパーファミリーに属し、シアル酸を認識する動物レクチンの総称である。その一種であるシグレック2(CD22)はB細胞表面上に存在し、同一細胞上に存在するシアリルα(2-6)ガラクトースをシス的に認識し、B細胞の機能(抗体産生)を抑制的に制御することが知られている。CD22の機能によって、一次免疫が抑制され、CD22が機能しない二次免疫では本来の免疫機能が発揮されることが知られている。申請者らは、CD22のブロックによる免疫抑制の解除(免疫の早期化)を目的として、本来のりがんどをモチーフとしてCD22プロッカーの設計・合成を進めてきた。本年度の研究において、シアル酸の2位及び9位に芳香族置換基を導入することで、nMのレベルでCD22の機能をブロックする分子の創製に成功した。当該分子の個体レベルの生物活性を評価することとし、CD22欠損マウスを対象群としてインフルエンザ感染に対する抵抗性を調べた。その結果、CD22欠損マウスと同様に感染後の体重減少を抑制し、臨床スコアを用いても同様の評価が得られた。当該化合物は免疫反応を早期化させる機能を有し、ユニバーサルな感染防御剤としての応用が期待される。MBPリガンドについては、ルイスAエピトープの4~5回の繰り返し構造を有する糖鎖の合成を目指し、フコースを持たないI型糖鎖骨格を構築した後、最終段階でフコースを導入する新規な合成経路を考察して、検討を行った。
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Bioorg.Med.Chem.
巻: 19 ページ: 1966-1971
http://wwwl.gifu-u.ac.jp/~kassei/