研究概要 |
N末端にThr-Hisタグを付加した黄色ショウジョウバエ由来脱皮ホルモン受容体(EcR)のリガンド結合ドメイン(EcR^L:335-665)および協同的に働くUSP蛋白質リガンド結合ドメイン(USP^L:219-508)のC末端Hisタグ付加体を大腸菌(BL21(DE3))を用いて発現し(Trx-His-EcR^L/USP^L-His),タグの切断および各種クロマトグラフィーにより高純度の精製標品を得ることに成功した。従来,リガンド結合部位のみのヘテロダイマーを安定的に調製するためには,Ponasterone Aのような高結合型リガンドの存在が必要と考えられていたが,本精製標品についてはリガンド非存在下で安定的にEcR^L/USP^Lヘテロダイマーの調製が可能であることを見出した。精製標品につきリガンド結合活性を測定した結果、高いリガンド結合活性を示すことが確認された。そこで、Ponasterone A存在下,非存在下の条件で結晶化条件の探索を行ったところ、Ponasterone A存在下において,針状の結晶を得るに至った。結晶化条件の最適化を種々試みたが,しかし,回折X線測定に適切な結晶を得るには至っていない。一方,良質な結晶を得ることを目的として,N末側に延びているヒンジ領域85残基につき,ほぼ10残基ずつ切り離しか4種のEcR^L(345-665,356-665,368-665,374-665)の発現を行い,種々精製を試みた。興味深いことに,ヒンジ領域を短くすることによりヘテロダイマー形成能が低下する傾向が見出され、リガンド非存在下での精製は困難となった。本精製標品につき,Ponasterone A存在下、結晶化条件の探索を行った。その結果、立方体に近い外観の良好な微小結晶を得ることに成功した。やや小さすぎることらか、さらなる結晶成長を図っており、今後、大型放射光施設でのデータ収集を試みる予定である。
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