研究課題/領域番号 |
21603016
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
袖岡 幹子 独立行政法人理化学研究所, 袖岡有機合成化学研究室, 主任研究員 (60192142)
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研究分担者 |
平井 剛 独立行政法人理化学研究所, 袖岡有機合成化学研究室, 研究員 (50359551)
田村 結城 独立行政法人理化学研究所, 袖岡有機合成化学研究室, 客員研究員 (50442984)
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キーワード | プロテインキナーゼC / 酵素阻害剤 / Isobenzofuranone誘導体 / Phosphatidylserine / ホルボールエステル |
研究概要 |
本研究では、プロテインキナーゼC(PKC)の調節領域に結合して活性を制御する、新規isobenzofuranone(IB)誘導体を用いて、その作用機構を解明することで、PKCの活性化機構を分子レベルで明らかにすることを目指している。特にPKC活性化能を有する誘導体と同じ基本骨格を有するにもかかわらず、PKCの活性を阻害する誘導体の開発に成功しており、全く新しいタイプのPKC阻害剤開発につながると期待される。 様々なアシル基を導入したIB誘導体を合成し、PKC活性化能を評価した。その結果、かさ高いピバロイル基を持つIB誘導体が強いPKC活性化能を示し、既知のPKC活性化剤であるホルボールエステル(PDBu)と同様、K562細胞の形態変化(ブレッピング)を誘導した。一方、アセチル基を持つ誘導体はPKCの酵素活性を阻害した。PKCのリガンド結合部位の、phosphatidylserineを含む脂質膜と相互作用すると思われる重要な場所にリジン残基が存在することから、このリジン残基のアセチル化がPKCの活性化に重要な役割を果たしている可能性を推定した。アセチル基を持つ誘導体in vitroでPKCと反応後、リジン特異的アセチル化抗体を用いて検討したが、アセチル化されたPKCを検出することはできなかった。さらにアセチル基の転移が起こらない、アミド基を持つ誘導体でもPKC阻害活性を保持していることを明らかにし、PKCのアセチル化による阻害メカニズムは否定された。現在はphosphatidylserineとPKCとの相互作用に影響を与えている可能性に着目し、その立証を目指した研究を進めている。
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