研究課題
我々はこれまでYb:YAGセラミックレーザのモード同期発振に成功した。しかし、透過率1%出力結合鏡(OC)使用時、励起パワー26.6Wにおいて、パルス幅417fsで平均出力パワーは250mWと低いものだった。繰り返し周波数は91MHzであり、ピークパワーは6.59kWであった。そこで、高出力化・高効率化を実現するために、レーザ共振器の改良を行った。はじめに、共振器の励起光源の集光系及びレーザ媒質であるYb:YAGセラミックの結晶厚を変更した。励起光源であるファイバ付LDのファイバコア径を200μmのものから100μmのものに、励起光集光レンズを平凸レンズからアクロマティック複合レンズに変更した。Yb:YAGセラミックは従来まで用いていた結晶厚1mmに加えて結晶厚2mm、3mmのものについても実験を行った。その結果、3mm厚Yb:YAGセラミック、透過率2%OCを用いたモード同期Yb:YAGセラミックレーザにより、励起パワー15Wの時、中心波長1049nmにおいて、パルス幅594fsで平均出力パワー1.33W、繰り返し周波数91MHz、ピークパワー24.6kWを得た。次に、共振器の分散補償系をこれまで用いてきたプリズム対から、GTIミラー及びチャープミラーに変更した。その結果、3mm厚Yb:YAGセラミック、透過率2%OCを用いたモード同期Yb:YAGセラミックレーザにより、励起パワー25Wの時、中心波長1050nmにおいて、パルス幅379fsで平均出力パワー3.92W、繰り返し周波数87MHz、ピークパワー118.9kWを達成した。我々の知る限りにおいて、この結果は、モード同期Yb:YAGセラミックレーザでは、平均出力パワー・ピークパワー共に最高のものである。また、この光源とは別のYb系光源で低分散フォトニック結晶ファイバ伝搬によるスーパーコンティニウムの発生にも成功した。
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光学
巻: Vol.40, No.8 ページ: 439-447
レーザー研究(The Review of Laser Engineering)
巻: 39 ページ: 862-865