本研究は、時間集光・空間集光が同時に成立し、Q分解能も向上させる、独創的な複合集光型結晶アナライザーを開発し、結晶アナライザー型中性子非弾性散乱実験装置の性能を革新的に高めることを目的とするものである。結晶アナライザーとは、規則的に配列された約1cm角の小さな単結晶ウエハの集合体(ユニット)として定義される。ユニットにおける単結晶の位置や傾きなどは、ある配列理論に基づき設計される。 1年目の平成21年度には、中性子ビーム実験を行うためのBLをJ-PARCセンター物質・生命科学実験施設のBL19に定め、平成22年度上期マシンタイムの一般研究課題公募に応募し、採択された。本装置パラメータを基に、ユニット試験体(1段×5列)、及び設置・調整用治具を設計・製作した。 平成22年度には、ユニット試験体に高精度のモザイク性(0.4-0.5度)を有するグラファイト結晶を設置して中性子ビーム実験を行った。検出器への反射強度が十分に得られなかった。治具の改良点が明らかとなり、ユニット背面に2軸アーク稼働のゴニオステージを設置すること、並びに中性子飛行パスにコリメータを設置出来るよう改造を行った。さらに、本実験へ向け、多段型となるアナライザーユニット本体(7段×5列)を設計し、製作に着手した。しかし、東日本大震災の被災があり、当該製作案件については平成23年度へ繰越を行った。
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