1.開発の第2年度にあたる本年度は、前年度に開発した「250MHzモデル」の性能を確認する実証テストを、PF2.5GeVリングを使っておこない、既に設置されているビーム位置モニター用ボタン電極からのRF信号を入力して、実信号での動作を確認すると共に、その問題点の洗い出しを行うこととした。 2.まず、加速器内を周回する電子ビームの作る信号のうち、加速周波数成分を同期検波して取り出すための1/2分周器(昨年度製作済み)の性能を確認した上で、同期検波を行うためのダブルバランスドミキサーと組み合わせて、実験室での模擬信号源を使用した確認作業を行った。PF 2.5GeVリングで性能確認実験を行うにあたり、その加速周波数が500MHzであるので、これを250MHzの2つのビームがそれぞれ周回しているとみなして、その調整に当たった。 3.実際の検出では加速周波数成分として取り出した信号の量が、ビーム損失量に相当し、その大きさは通常約-60dB程度と非常に小さいものとなるので、検出上の雑音成分を可能な限り低く抑える必要があり、検出回路間をつなぐ信号ケーブルに2重シールドをほどこすなどの取り扱いに注意した。 4.しかし、年度の最後の3月に東日本大震災が発生し、上記の確認実験を予定していたPF2.5GeVリングおよびLINACが地震により大きく被災するという事態が発生し、「250MHzモデル」の実証実験を延期せざるを得なくなった。また測定器類の一部も机上から落下するなどの被害が発生した。
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