本研究の目的は、X線マイクロビームによりタンパク質結晶をスキャンし、高感度で高速な読み取り性能を持つX線HARP検出器によって回折イメージをリアルタイムで収集・評価するシステムを開発することである。23年度は22年度の実績に基づきX線HARP検出器とのつなぎこみおよび放射光ビームラインを用いた評価試験を行う予定であったが、東日本大震災のためビームタイムが十分に確保できなかった。そのため、本年度は画像データ評価ソフトウェアの改良を中心に行った。21年度に開発したソフトウェアはGPUを用いているため高速である反面、アルゴリズムとしては単純な回折点のピークサーチである。そのため結晶の有り無しを判定することは可能であるが、比較的サイズの大きな結晶上の良質部を探索することはできない。この目的のためには回折イメージの「質」をなんらかの方法で評価する必要があるが、今回は回折点のプロファイルを評価するソフトウェアの開発を行った。リアルタイムでの評価は難しいが、評価の第二段階(オプション)として、特にマイクロビームを用いたスキャンで有用性は高いと考えられる。また、当初計画で予定していた最適なデータ収集条件を推定する機能も準備した。 上記の他、画像データ評価ソフトウェアをビームライン制御ソフトウェアにつなぎこむためのインターフェース部を開発した。前年度に引き続き小型ビームストッパーの更なる改良を行った。また、イメージデータを保存するためのデータストレージを整備した。
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