1. ダイヤモンド検出器の評価試験 前年度に設計・製作したダイヤモンド検出素子は、モニター本体の設計の自由度を広げるために小型化していることを特徴としている。評価試験をSPring-8のシンクロトロン・電子ビーム出射エリアで実施した。8GeV電子ビームを直接ダイヤモンド検出器に照射した時のパルス出力を観察することによってその検出効率を算出した。ビーム試験の結果、従来の検出器と同等の検出効率と広いダイナミック・レンジを有することを確認した。 2. モニター本体の製作とビーム試験 高周波特性の向上を達成するために、従来のモニター本体にストリップライン型伝送線路、高周波対応型SMA電流導入端子、及び、RFフィンガーを採用した。250MeV SCSS試験機において評価試験を行ない、航跡波の影響による高周波成分を10分の1以下に抑制できることを確認した。ダイヤモンド検出器を電子ビームのコア部に近付けても、電子ビームの質を劣化させないことを確認した。 RFフィンガーの材質は、通常、バネ性に富むベリリウム銅を採用する。しかし、高いエネルギーの電子が材質中の散乱により二次電子・輻射を放出する影響を最小限に抑えるために、原子番号の比較的小さいアルミ窓付のRFフィンガーを開発した。この効果を確かめるために、8GeV電子ビームによる照射実験とモンテカルロ・シュミレーション・コード(EGS5)により、定量的な評価を行なった。その結果、0.1tのアルミ窓付RFフィンガーを採用することで、二次電子・輻射の影響は、出力信号を数%程度変化させるに止まることが明らかとなった。
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