研究概要 |
平成22年度までに、ダイヤモンド検出素子の電子ビーム照射試験、この検出素子を装着した実機用モニターの実証試験、及び、航跡波の影響を抑えるために導入したRFフィンガーの評価試験を実施した。23年度は、本モニターをSACLA(SPring-Angstrom Compact free electron Laser,8GeV電子ビーム線形加速)に設置し、微弱な電子ビームのハロー部の強度を直接計測することができるかを確認する最終動作試験を実施し、以下の結果を得た。 ・パルス動作する加速器クライストロン等から発生する電気的な環境ノイズの影響を受けない。 ・線形加速器部及びビーム輸送部で発生する輻射、2次電子等の影響を受けない。 ・線形加速器直下流のアライメント用アンジュレータから放射されるX線の影響を受けない。 ・装着されたRFフィンガーが航跡波の影響を抑制し、高周波特性を向上させている。 また、本モニターを実際に利用し、ビームパイプ全体に広がるハロー成分が無いことも確認し、SACLAの通常運転時における電子ビームのハロー部は±2mm程度に集中していることを直接的に観測した。また、ダイヤモンド検出器を電子ビームに接近させてもXFEL発振の阻害要因にならないことも確認した。 本研究で開発したダイヤモンド検出器を用いた高エネルギー電子ビームの強度を計測する手法は、検出限界を2×10^3e/pulseに引き下げることに成功し、放射光施設の電子ビーム加速器において、アンジュレータ永久磁石の電子ビーム照射による放射線損傷を防ぐためのインターロック用センサーとして不可欠なものとして位置付けられている。
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