白金触媒に代わる、バイオ燃料電池の高出力化するための基礎研究を推進することが本研究課題の目的である。本年度においては、まずアノード極に関して、複数酵素固定による高出力化についてさらなる最適化を行い、二つの酵素を単に混ぜ合わせて固定する方法やそれぞれ別の層として階層的に固定化する方法など、最も効率よく電子移動と基質の移動ができる方法1とついて調べた。電極の別の面に異なる酵素を固定化する方法が現在までの検討では最も効率の良いことがわかった。また、一つの酵素でアルコールからカルボン酸までの4電子酸化可能な酵素を新たに見出し、その酵素を固定した電極を用いてエタノールからの効率的な電子の抽出に成功した。また、好熱菌由来のアルコールデヒドロゲナーゼを用いて、80℃のやや高い温度で反応させ、常温時よりも10倍以上高い電流密度を得ることに成功した。この酵素はカーボンペーパーにも固定化でき、さらなる電流密度の向上が期待できる。また、カソード極で用いられるビリルビンオキシダーゼに関して、電極上に作製する金ナノ粒子膜の金ナノ粒子の粒子径が効率的な電子移動反応に重要であることを見出した。電子移動に適したサイズはタンパク質や酵素のサイズに依存し、ビリルビンオキシダーゼの場合、金ナノ粒子径が70nmと比較的大きなサイズの粒子を用いる必要があることがわかった。金ナノ粒子のサイズ・酵素のサイズと電子移動効率の関係が明確になったことにより、今後の様々な酵素固定化電極の作製が容易になるものと考えられる。これら得られた情報をまとめて、エタノール/酸素型のバイオ燃料電池のプロトタイプを作製し、性能評価を行う予定である。
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