研究概要 |
[HCu(PPh_3)]_6を触媒とするエタノールとH(SiMe_2)_nR (n=2~6,R=Me,Ph)との脱水素オリゴシラニル化は、オリゴシラニル基の構造を保ったまま高収率に進行した。両末端がHであるH(SiMe_2)_nH (n=2~6)とエタノールの反応は、同条件では全く進行しなかった。しかし配位子の効果は著しく、PPh_3に替えてdppeを用いるとH(SiMe_2)_nH (n=3~6)についてはオリゴシラニレン基の構造を保ったH(SiMe_2)_n(OEt)と(EtO)(SiMe_2)_n(OEt)の混合物が高収率で得られた。また、アルコールの反応性はn=3についてはPhCH_20H>EtOH>PhOHとなり、単純なヒドロシランの場合とは異なる様相を示した。しかし、n=2の場合については不均化が著しく進行した。本手法をH(SiMe_2)_3Hとヒドロキノンの反応に応用することで、(SiMe_2)_3ユニットとp-フェニレンジオキシ基を繰り返し単位とする交互共重合体を得ることも可能であった。 H(SiMe_2)_2MeによるPhIのジシラニル化は種々の配位子のPd錯体で検討したが、Si-Si結合の開裂した生成物が多量に生成した。Rh錯体では反応性が低かったが、その検討の過程でシロキシ基またはアルコキシ基で置換されたヒドロシランがPhIと高選択的に反応し、脱ハロゲンシリル化生成物が従来の触媒より高収率で得られることを見出した。 B(C_6F_5)_3触媒では末端アルキンのヒドロオリゴシラニル化が進行しない。しかし、内部アルキンでは問題なく反応することも見出した。Berkeらが報告しているような、末端アルキンとB(C_6F_5)_3の反応における転位の難易が関係していると思われる。
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