研究概要 |
本年度は以下の項目について研究を行った。 (1) 水の電気分解や人工光合成に応用可能な分子性白金触媒電極の開発:これまでに合成した直鎖状白金クラスター[Pt_3(μ-dpmp)_2(RNC)_2]^<2+>及び[Pt_6(μ-H)(μ-dpmp)_4(RNC)_2]^<3+>を出発物質とし、水素イオンの還元による水素発生電極の開発を行う目的で,種々の酸化還元反応を行い得られたクラスター化合物について詳細な構造を明らかにするとともに,物性及び反応性について検討を行った。また,白金6核錯体の2電子酸化体が興味深いサーモクロミズムを呈することを見出し,その機構を解明する目的で低温のX線結晶構造解析を行ったところ,約-20℃で相転移がおこり分子構造の変化が生じることを明らかにした.さらに,金属基板との相互作用を検討する目的で,Hg(II),Au(I),Ag(I),Cu(I)等d^<10>異種金属との反応も試みた. (2) 銅クラスターの分子設計による安価な卑金属を用いた貴金属代替触媒材料と水素吸蔵システムの開発:白金を中心とする貴金属代替材料を考える場合、水素との反応がひとつの開発指標となると思われ、本年度は安価な卑金属である銅ヒドリドクラスターの合成を中心に白金代替触媒材料創成のための実験を行った。特に、最近申請者が合成に成功した四座ホスフィンdpmppmを支持配位子に用いたところ銅(I)9核ヒドリドクラスター([Cu_9H_9(μ-dpmppm)_3]の合成に成功し,その詳細な構造を明らかにするとともに,不飽和有機化合物の水素化触媒反応について検討を行った.
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