ナノポーラスPdの創製条件を検討した結果、Co-Pdの電解時の印加電位による孔径の変化の再現性には問題があった。このため、出発原料を変更し、めっき膜からの脱合金化を試みた。PdCl_2とCoCl_2・6H_2Oを含む電解液から、均一な組織を有する厚み約5ミクロンCo-Pd薄膜をPd板上に電析した。この薄膜電析Pd板をH_2SO_4中での脱合金化に供した結果、巨視的な組織の形状はほぼ脱合金化前と変わらないものの、高倍率で電子顕微鏡観察した結果、約10nmの気孔径を有するナノポーラス構造が観察された。このことから、Co-Pd薄膜を出発原料とし、ナノポーラスPd薄膜を形成できることがわかった。 また、Pd-Co合金の脱合金化により作製したナノポーラスPdのCO酸化反応特性を調べた。Pd_<0.2>Co_<0.8>合金圧延板の脱合金化により、孔径約20nmのナノポーラスパラジウム試料を作製した。試料約50mgを充てんしたガラス反応管の温度を323-623Kで保持し、COとO_2の混合ガスを一定流量で流した際の出口側のガス濃度をガスクロマトグラフ装置で測定した。比較のためPd粗粉末(粒径約1ミクロン)のCO酸化特性も測定した。その結果、Pd粗粉末に比べナノポーラスPdは室温に近い低温領域でもCO酸化反応の触媒作用を発現した。一方、比較のためにナノポーラスPtおよびPt粗粉末(粒径約1ミクロン)のCO酸化特性も測定した結果、ナノポーラスPtでは表面積が大きいにもかかわらず、Pt粗粉末より酸化特性が劣った。表面のひずみや残留元素が影響している可能性が推測される。 一方、ナノポーラスNiの触媒特性評価に際し、試料の取り扱い中に酸化を防ぐためグローブボックスの導入、および反応管への充てん方法の検討を行い、CO/H_2ガスからメタンを生成するメタネーション反応での触媒特性を測定する実験環境を整えた。
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