研究課題/領域番号 |
21610006
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
木村 留美子 金沢大学, 保健学系, 教授 (90169946)
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研究分担者 |
能登谷 晶子 金沢大学, 保健学系, 教授 (30262570)
津田 朗子 金沢大学, 保健学系, 准教授 (40272984)
井上 克己 金沢大学, 保健学系, 准教授 (00176421)
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キーワード | 発達障害 / 幼児健診 / 保健師 / 早期発見 / 早期介入 / 阻害要因 |
研究概要 |
本研究は、子どもの発達の遅れや歪み、障害等による問題行動を早期に発見し、早い時期から有効な介入を行い、子どもの健やかな発達を保障することを目的に実施した。そこで、まず発達障害等の早期発見・介入を阻害する要因の検討を目的に1.6歳と3歳児の幼児健康診査を実施している保健師長と母子保健担当保健師を対象に質問紙によりスクリーニングの実態を調査した。保健師長からは147(回収率36.8%)名が、母子担当保健師からは499(回収率26.3%)名の回答を得た。回収された調査用紙は回答の有効性の検討や自由記載の分類を行い、SPSS統計ソフトを用いて分析を行い22年度は保健師長の調査結果を発表し、23年度は、保健師の調査結果を分析し、第58回小児保健協会学術集会と南アフリカで開催された第13回World Association for Infant Mental Healthにおいて2題発表した。 保健師は健診の目的を1歳半健診では発達の遅れの早期発見を40.9%、3歳児健診では50.3%と回答していたが、スクリーニングの活用度は低く、いずれの健診でも20%以下であった。その理由として、発達障害を発見可能な適切なツールがないことを挙げていた。そのため、健診における発達診断のスクリーニングの可能性については1歳半では37.7%、3歳では56.9%であった。したがって、1歳半での発達障害の早期発見は困難とする者が多く、3歳になれば約半数が可能と考えていることが示唆された。また、スクリーニングの可能性については地域差がみられ、いずれの健診でも都市部に可能と回答した割合が多かった。スクリーニングで発達障害か否かの判断に迷う理由では、保健師自身の知識や手技の問題が最も多く26.9%、次いで健診の時間帯や場面の問題であった。健診の未受診の問題では未受診者が把握できていないが13.8%、継続管理の問題では適切な時期のフォローが出来ていない等、幼児健診に関する体制の問題、早期発見の問題、介入の遅れなどの問題が示唆された。
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