近年、LD(学習障害)やHFPDD(高機能広汎性発達障害)などといった社会性の発達において未熟のある軽度発達障害児者に対し、教育機関が積極的に支援していくことが重要な課題とされている。軽度発達障害児者の症状は多様であり様々な問題があるが、そのひとつとして他者認知が困難な点があげられる。そのことが原因でコミュニケーションがうまく図れず対人関係においてトラブルを生じることも多い。 そこで、本研究では社会性のスキルとして欠かせない表情を介したコミュニケーションが図れるよう、コンピュータによるトレーニング支援システムの開発を目的とする。 平成23年度は以下に示す計画(1)~(2)に基づき、 (1)表情認識トレーニング支援システムの開発 療育現場では表情認知を目的とし、様々な感情を表現されたアニメカードを用いトレーニングが行われている。しかし、人間の顔写真や実物の人間を見たとき、表情認知が難しくなる場合がある。そこで、より実践的に表情認知ができるようにトレーニングするソフトウェアを開発した。特に、表情認知に欠かせない注目すべき顔の部位の教示、特徴の捉え方などのヒントを与える仕掛けを考案し効果を確認した。 (2)表情表出トレーニング支援システムの開発 コンピュータモニタ上に教師の顔画像とカメラで捉えた訓練者の顔画像(鏡像)を並べ、訓練者は教師の表情の模倣を試みる。訓練者の表情筋の活動として、注目点の移動量を画像処理計測し、訓練の成果として訓練者にフィードバックし、目的意識や達成感を与えるようシステムを工夫した。 さらに、(3)~(4) (3)画像処理では解析が難しい場合がある表情筋の活動について、筋電図計測により詳細に解析した。 (4)表情の同調(より自然な表情の反応)について、(3)の手法で詳細に解析することができた。
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