研究課題
1.園庭の歴史的変遷についての調査:園庭に関する公刊物や対象幼稚園での記録の収集を行い、身体観、歴史的社会的状況、地域文化的特質などの観点から分析を行った。2.園庭デザインの今日的特性についての調査:地域特性の異なる奈良市内の幼稚園5園を対象に、実地調査を行った。園庭の設計、遊具・用具の設置、動植物関係施設の設計、教材の選定と設置などの観点を調査し、利用方法や形態、設置方法を含めてスチール写真など映像記録を採取した。また、調査園の保育者に園環境設定の目的や子どもの活用方法、それに対する保育上の評価についてインタビューを行った。主な遊具・用具、主な設備については共通性が高かったが、例えば砂場と水場と用具置き場のとの位置関係や、それらとブランコや滑り台などの遊具との位置など配置のあり方、園舎と園庭の位置関係によって、保育における活用の仕方や遊びへの期待が異なっていた。また、植栽等や築山の配置など立体化のあり方には多少の個性が見られ、園外の環境利用を含めて、園庭環境の特徴づけを促していた。3.園庭利用の実際と子どもの活動の実態についての調査:奈良女子大学附属幼稚園において、子どもの園庭利用の実際について、フィールド観察を行った。研究スタッフはそれぞれデジタルカメラによって撮影記録を採取するとともに、観察後のカンファランスによって、園庭環境の異相性と重層性を捕捉した。カンファランスは録音し、逐語記録を作成し、マイクロな分析を開始している。また、岐阜県の私立幼稚園と奈良市の公立幼稚園各1園の協力を得て、園庭を活用したプロジェクト活動の観察調査を行った。大学生に園庭で展開する遊びのデザインを試行的に実施させた。以上より、保育者や子ども、大学生、研究者などのポジショニングによって、環境の資源化可能性が顕在化された。
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大分大学教育福祉科学部附属教育実践総合センター紀要
巻: 27 ページ: 21-38