昨年度に引き続き、主に評価プログラム用のソフトウェアの開発を、芝浦工業大学システム工学部の協力のもと実施した。評価者や支援者がより使用しやすいユーザインターフフェイスの工夫や、データ解析について検討し、平成23年度後半には、健常青年に対する調査を実施した。そこで、アイマークレコーダと同期させることにより、眼球運動との関連を捉えられる可能性が示唆された。しかし、具体的には、画面の見やすさ、入力のしやすさ、課題の提示のしやすさ、結果の分かりやすさなど、実施する側も、評価者側も使用しやすくするという点において、引き続き改善の余地があることが確認された。今後、保育園や学校、発達障害児施設においても、使用していくためにも引き続きソフトウェアの修正が必要である。しかし、発達障害児の不器用さは、近年認識が高まりつつあり、それが日常生活や学校生活、教科学習における遂行機能などに影響を与えていると考えられていることから、本システムの開発は、引き続き重要な課題である。特に目と手の協調性は、微細な運動のコントロールの発達に関与しており、なるべく早期に支援が実施され、その効果が明らかとなれば、ライフステージにおける職業選択などにも有用な示唆を与えることが可能となると考えられる。 情報収集の機会としては、日本感覚統合学会に参加し、発達障害児の身体運動特性に関する演題発表や、発達障害児支援者とのディスカッションを通して、改めて作業療法の分野でのエビデンスを示すための手段が不足していることが明らかとなり、支援による効果を定量的に示すことの重要性を再認識した。
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