全国地方自治体の保育所設置基準に対する意識や保育事業の実施状況などについて把握することを目的にアンケート調査を実施した。その結果、乳児および2歳未満児の1人あたり面積について、1.65m^2と3.3m^2のどちらを採用するか、その基準が児童福祉施設最低基準において明確ではないことから、1.65m^2を採用している自治体も確認された。保育所の観察調査および保育士に対するヒアリング調査では1人あたり面積3.3m^2でもじゅうぶんな広さとは言えないとの回答も得ており、運用の実態についてさらに調査をすすめる必要がある。 保育室内の温熱・空気・音環境の実態を把握し、子どもの活動との関係性について考察することを目的に、環境測定および観察調査を実施した。その結果、温熱環境では保育室内の温度が低く、空気環境では二酸化炭素濃度と浮遊粉塵量が非常に高いこと、音環境では1日を通して音圧レベルが高く、活動時間の大半を騒音的環境が占めていることが分かった。温熱環境、空気環境の改善のためには、空調設備の使い方や換気方法を見直す必要がある。また、音環境では、子どもの自由な活動を制限すべきではないが、騒音的環境が普通となっている現状を、保育室内の吸音材の使用などを踏まえて見直す必要がある。保育環境の改善のためには、他の教育施設のように定期的な検査を行い、明確な基準を定める必要がある。 シュトットガルト市・ドレスデン市を訪問し、現地在住の調査協力者と共に調査を行った。両市の保育担当者と面談を行い、それぞれの地域における保育所の基準、基準制定の理念と運用の実態、近年の保育ニーズと対応策などについて説明を受けた。また、施設基準に基づいたミニマムモデルの保育所、心身障害児との統合保育を行っている保育所など4施設について視察およびヒアリング調査を行い、保育現場において基準がどのように反映されているのかについて考察を行った。
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