研究課題/領域番号 |
21611004
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小泉 雅彦 大阪大学, 医学部附属病院, 特任教授(常勤) (90186594)
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研究分担者 |
隅田 伊織 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (10425431)
高橋 豊 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (40353461)
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キーワード | 放射線治療 / 品質管理 / 多施設調査 / 国内施設リスク予測 / 医学物理士 |
研究概要 |
大阪大学の放射線治療機のビーム出力を基準とし、Gafchromic filmを用いてX線のビーム出力精度を、関連病院19施設を対象に郵送調査した。その結果、予めフィルムを用いた絶対線量測定精度の不確かさ(7%未満:許容内、7-14%:ヒアリング、14%以上:訪問調査)に対して、全施設で許容内であった。許容内ではあったが、内2施設では4%を超える誤差を認めたため、フィルムによる再測定を実施し、1施設は2%以内を示したが、1施設では同様に4%を超えた。誤差が大きかった施設に対し、大阪大学より訪問調査を実施した。その結果、電子銃の加速感が経年劣化していることが判明し、メーカ対応の要望を伝達した。 X線のPercent depth dose(PDD)測定をGafchromic filmを用いて行った。フィルム設置方法は、固体ファントムでフィルムを挟み、フィルム上縁をSSD:100cmおよび105cmとした。その結果、SSD:100cmの場合、基準となる計算線量プロファイルと3%以内の精度で一致した。一方、SSD:105cmの場合、計算線量プロファイルよりも3%を超える過剰応答を示した。この原因は、ビームがフィルムに入射する過程で5cmの空気層を通過し、1次X線による低エネルギー成分(コンプトン散乱およびそれに伴い発生する光電効果)が過剰応答に影響していると判断できた。過剰応答の検証のため、空気層を除去する目的で、フィルムを水中に配置し同様の測定を行った。その結果、計算線量プロファイルと良好な一致が得られ、原因を裏付ける結果を得た。フィルムを鉛板で挟む手法を考えたが、セットアップが煩雑であり、どの施設での実施を想定すると困難だと考え、フィルムを用いた水中測定の有用性を明らかにできた。
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