研究概要 |
本研究では、CT装置のX線射出口に非対称な形状を持つ吸収フィルタを装着し、測定を行う事で1回のスキャニングでDual Energy法による再構成像を得る方法の確立を目的としている。 本年度においては、これまでX線ビームが2次元的な広がりしか持たないファンビーム方式のCTで検討してきた方式を3次元的なコーンビーム方式のCTへ拡張していくことを主に検討した。2次元の非対称フィルタを3次元に拡張したフィルタを用いた場合,被験者体軸に垂直な平面で管球及び検出器が回転する構造では同一のビームラインを二種類のX線で測定することはできないため,通常の効率的なDE方を適用することはできないが,測定データ全体を用いた反復求解法によれば可能であることを,Fessler等の尤度を用いた評価関数を最小化するO'Sullivan等のアルゴリズムを用いて数値実験を実施した。これまでの結果から,完全投影の状態にあれば正しくDE再構成が行われることから、非対称フィルタDECTでコーンビーム測定方式に拡張できる可能性が極めて高い事が判った。 またフィルタが装着された際の被験者の被爆に関するモンテカルロシミュレーションをEGS 5を用いてスタートさせた。これにより、これまで、無視されて来たX線射出口に装着されているフィルタが被爆に及ぼす影響の基礎特性が明らかとなり、本研究独自の非対称フィルタによるX線CTの被爆を評価するための研究基盤が整った。
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