研究課題
マイクロトモグラフィ法は、CTスキャンの原理により物質の三次元微細構造を明らかにする手法である。生体組織の三次元解析法としては、共焦点顕微鏡などの光学的手法も報告されてきているが、蛍光色素の特異的発現や結合を前提としており、ヒト組織への応用は難しい。また、可視光等を使用する限り、不透明な生体組織の三次元構造は解析できない。一方、X線は生体を容易に透過するため、組織内部の観察が可能である。このことは、レントゲン写真により人体内部が観察できることからもわかる。従って、生体組織にマイクロトモグラフィ法を適用すれば、組織の微細な三次元構造を明らかにすることができる。本研究では、マイクロトモグラフィ法により、生体組織の三次元構造をミクロン~サブミクロンスケールで明らかにすることを目的として構造解析を行った。平成21年度は、マイクロトモグラフィ法による生体組織の三次元構造解析法を確立することを主要な課題とした。病理解剖により摘出されたヒト組織をホルムアルデヒド固定した。大脳組織から切片を切り出したのち、染色を施した。スライス標本等で用いられる方法を改変し、金・白金・オスミウムなどの金属化合物による染色を行った。精細な染色像を得るため、金属化合物等の処理条件について検討した。放射光施設でのマイクロトモグラフィ解析では、測定光学系として投影型を用いて、染色状態の検討を行った。空間分解能の検定のための標準試料も作成し、測定に用いた。得られたX線透過像を用いてトモグラフィ再構成計算を行い、三次元構造を求めた。電子密度の分布をトレースすることにより、ヒト大脳の神経ネットワークの構造が明らかにできた。結果の詳細については、学術誌等でも発表している。
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