マイクロトモグラフィ法は、CTスキャンの原理により物質の三次元微細構造を明らかにする手法である。生体組織の三次元解析法としては、共焦点顕微鏡などの光学的手法も報告されてきているが、蛍光色素の特異的発現や結合を前提としており、ヒト組織への応用は難しい。また、可視光等を使用する限り、不透明な生体組織の三次元構造は解析できない。 一方、X線は生体を容易に透過するため、組織内部の観察が可能である。このことは、レントゲン写真により人体内部が観察できることからもわかる。従って、生体組織にマイクロトモグラフィ法を適用すれば、組織の微細な三次元構造を明らかにすることができる。本研究では、マイクロトモグラフィ法により、生体組織の三次元構造をミクロン~サブミクロンスケールで明らかにすることを目的として構造解析を行った。 本年度は、症例・部位を変えて試料を調製し、実際の測定を行った。また、得られる構造の解析にも重点をおいて、研究を進めた。三次元像の再構成では、超並列計算環境を用いた計算プログラムを開発し、迅速な画像処理を可能とした。また、組織構造の解析では、神経ネットワークなどの複雑多様な構造要素を自動的に認識するアルゴリズムを開発した。本課題に関連して、大型放射光施設SPring-8においては測定のための長期課題が採択されており、今年度も引き続いて同課題によって各種測定を行った。結果の詳細については、学術誌等で発表しているとおりである。
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