研究課題
インターベンショナルラジオロジー(IVR)は従来の手術法と比べて侵襲が少ないことから、様々な疾患の治療に広く用いられている。しかしIVRによる被ばく線量は癌の放射線治療に次いで大きい為、長期的な人体への影響が懸念されている。ICRP(国際放射線防護委員会)は2001年にPublication 85として「IVRにおける放射線傷害の回避(和題)」を出した。この中で、患者の皮膚線量に応じて(3Gy以上、繰り返す手技の場合は1Gy以上)経過観察等の処置をとるべきであると述べている。また、2007年の新勧告では「診断参考レベル」の適用を医療被ばく防護の最適化における重要なものと位置づけ強調している。この「診断参考レベル」を適切に評価する為には、何より実際の患者の皮膚線量の測定あるいは推定が不可欠であるが、我が国の対応策を検討するに資する被ばく線量のデータはまだ出揃っていない。本研究では安全なIVR治療法の普及を目的として、多数の放射蛍光ガラス線量計(RPLD)による直接的被ばく線量測定法の標準化を行うことを目標としている。平成23年度には、多様な疾患に適用できる標準装具(頭頸部成人用標準装具、胸部成人用標準装具)と、成人頭部・胸部におけるRPLD読み取り値校正方法の標準化とを完了し、関連病院で頭部80例以上、胸部5例の被ばく線量を得ることができた。RPLD素子を用いた直接的被ばく線量測定がもたらす新たな副作用低減方法を提案し、解析結果の一部を国内学会(4件)で発表し、論文(1本)に公表することができた。また国内特許1件を取得した。本研究から得られる成果は、患者の放射線障害を防ぐことのみならず、術者の被ばく線量の低減や、医師と患者の間の良好な信頼関係の構築にも貢献することが期待される。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) 備考 (2件)
Radiation Measurements
巻: 46 ページ: 2103-2106
http://dx.doi.org/10.1016/j.radmeas.2011.08.008
http://www.tsukuba.ac.jp/update/awards/20120126103936.html
http://www.tsukuba.ac.jp/update/awards/20120322144859.html