研究課題
本研究では、(1)対象地域のバイオマスエネルギー資源賦存量と利用可能技術の調査、(2)地域エネルギーシステムの経済性と運用特性を評価するエネルギー経済モデルの開発、(3)得られたデータをエネルギー経済モデルを用いて解析することによって、地域の気象、自然、エネルギー需要特性にふさわしい総合エネルギーシステムを設計、(4)バイオマス資源を地域社会にて利活用するエネルギーシステム設計手法を構築、(5)バイオマス利活用に伴う実用上の課題利活用促進のためのバイオマス利用技術の目標性能を明らかにした。はじめに、東南アジアの開発途上国を対象として、廃水処理に嫌気性発酵槽を導入することを想定し、クリーン開発メカニズム(CDM)の影響を考慮したバイオガス回収利用システムを設計した。削減したCO_2排出量を排出権クレジットとして考慮し、開発途上国における温室効果ガス削減費用を算出した。これにより、温室効果ガス削減に伴う外部不経済生を内生化する手法を構築した。つぎに、バイオ燃料と、電気自動車等の次世代自動車の導入が運輸部門に与える影響を、エネルギー経済モデルによって解析した。次世代自動車の導入量の増加にしたがって価格が減少する習熟効果を考慮し、2050年までの車種構成の変遷を導出した。これにより、エネルギー経済モデルを用いてバイオ燃料の導入影響を評価する手法を開発した・さらに・国内の木質バイオマスを石炭火力発電所に輸送し、混焼発電するシステムを設計した。地域に賦存する資源を混焼用燃料に加工する工場の立地をケースごとに分け、スケールメリットと原料輸送距離のトレードオフを定量的に明らかにした。また、加工、輸送に伴うCO_2排出量、バイオマス資源に固有なカーボンニュートラルの性質等を定量化して、バイオマス利活用に伴う環境影響を評価する手法を構築した。
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