本研究の目的は、経頭蓋的直流刺激法施行の後に生じる可塑的変化について、(1)fMRIと脳波律動を組み合わせた手法でその範囲と持続時間を詳細に評価し、(2)11Cラクロプライドを用いたPETでドパミンレベルを測定し、皮質基底核ループの機能変化を解明することである。 11Cラクロプライドを用いたPETによる脳機能イメージング研究については、経頭蓋的直流刺激法の前段階として、反復運動による運動学習の効果を検討した。その結果、脳内とくに基底核でのドパミン量と運動学習のconsolidationとの相関を1Cラクロプライドを用いたPETによって計測中である。具体的には、正常被験者を対象に、運動学習初期で運動学習を行っている状態でのbindingpotential(BD)と運動学習をoverlearnしてプラトー状態に達した状態でのBDをSPMで統計的に比較する予定である。こうした手法を用いることによって、運動そのものによるドパミン放出量の変化を統制して、その運動を学習中かどうかによってドパミン量が影響されるかどうかを解明することができると期待している。 また、経頭蓋的直流刺激法については、ドパミンを神経伝達物質とする報酬系の関与する課題であるendowment effect課題を用いて、左前頭前野に対するアノード刺激とカソード刺激とシャム刺激の3条件を同じ被験者で行い、予備的な結果を得ている。今後、機能的MRIおよび脳波実験によって、経頭蓋的直流刺激の効果を客観的に測定していく。
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