研究概要 |
本研究は,数値流体力学(CFD)に代表される数値解析技術や情報抽出・分類に用いられるデータマイニング手法等のIT技術を融合させることで,生物の飛翔メカニズムの解明を目的としている.平成21年度は,飛翔メカニズムの解明を行うシステム構築の基礎的な研究として,羽ばたき等の移動物体問題の解析ツールの開発と,非定常流れの現象解明を目的としたデータマイニング手法の開発を進めた.前者に関しては,トンボのはばたきから生じる流れ場を直交格子法により効率よく解析する手法の開発と検証を進めた.直交格子法によりトンボの羽ばたきを再現することで,非常に簡便な方法で計算が可能となることが示せた.ただし,現在の直交格子法のみによる計算手法では解析時間の大規模化や振動といった問題が生じてしまうため,グリッドレス法や非構造格子法とのカップリングも合わせて進めている.また,非定常流れ場の現象理解のため離散ウェーブレット変換を利用した詳細成分と平均成分への分離法を開発した.これにより,流れ場中における変動成分の大きい領域を特定することが可能となった,今後,実際の流れ場に本手法を適用して特徴的な領域を特定し,パラメータの違いによる流れ場の相違点の解明につなげていく予定である.
|