研究概要 |
ソフトウェアを導入することによる環境負荷削減の議論は盛んに行われているが,ソフトウェア開発時の環境負荷はあまり議論されていない.しかし,ソフトウェア開発管理の手法,体制,巧拙などによって開発管理作業量は大きく異な,環境負荷に大きな差が出る可能性がある. 民生部門エネルギー消費実態調査(NEDO),環境負荷原単価データブック(国立環境研究所)等の資料を基に,ソフトウェア開発による年間CO2排出量の計算式を構築した,計算の結果,開発者が直接出すCO2だけで年間507,097トンにのぼることがわかった.また,高度なソフトウェア開発管理技術を用いると,不具合(バグ)削減で,試験工数が1/3になると言われており, 情報処理推進機構ソフトウェア・エンジニアリング・センターが発行する「ソフトウェア開発データ白書2009」等のデータに基づいて試算してみると,試験工数が1/3となれば,開発者が直接出すCO2だけで年間約105,255トン削減されることもわかった.これは,コンピュータサーバ8,400台余りの年間CO2排出量に相当する. 試験工数の削減には,レビュー技術が有効と言われており,環境負荷の削減という観点をレビューチェックリストに導入することで,より環境負荷に配慮したレビュー(グリーンレビュー)を実現することができる.ま,ソフトウェア開発の受発注者間で, 環境負荷に関する事前合意を形成し,開発作業と環境負荷の関係を把握するために収集・評価すべき開発データを取り決めることが,ライフサイクルアセスメントに不可欠である.
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