研究概要 |
本研究では,環境モニタリング等自然環境で稼働するセンサーネットワークにおいて、自然環境への負荷が小さいサステイナブルセンサーネットワークの実現を目指した構築法(Sustainable Sensor Networks with Less Impact to Nature)の基礎技術を開発する.特に,通信ネットワーク技術(ルーティング,協調データバッファリング等)を用いることに特徴がある.この目的に対し,本年度は以下のアプローチを行った. A)自然領域のノードの交換回数を少なくし,自然へのダメージを小さくするアプローチ バッテリ切れ,新デバイスへの交換,過酷な自然条件でのノードハードウエア劣化などの理由でセンサーノードが使用不可能になった場合には,ノード交換が必要になる.このアプローチでは,ノード交換を少なくするようにトラフィックを制御する.すなわち,自然量が少ない領域のノードを集中的に利用する.本年度は,生物学的なバイオマスなどを参考に非負の実数によって自然量を定義した.また,センサーネットワーク設置の影響により自然量が変動する機構をモデル化し,自然へのダメージを小さくするルーティングプロトコルを考案した. B)自然を考慮しつつ高度なセンシング機能を実現するアプローチ 高精細な動画を記録する場合などには,バースト的に大容量のデータが発生する.これを収容するために,本年度は,他のノードの空いているメモリバッファを利用する方式(Cooperative Buffering(CB);協調バッファリング)を開発した.CBは,蓄積したデータの回収には移動体を利用するが,移動体の移動特性を考慮して回収が効率的になるように蓄積する方式である. 以上の成果を電子情報通信学会,情報処理学会等の論文誌や研究会で発表した.
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