研究概要 |
本年度は,特に自然への負担を小さくする方法として、エナジーハーベスティングを用いたセンサーネットワークの効率的データ収集法に関して考察した.通常のセンサーネットワークでは,端末の電力源としてバッテリが使用されているが,バッテリの電力が枯渇するとメンテナンスによって自然界に侵入することが必要になる.これに対し,太陽光や振動,熱といった自然エネルギーから発電を行う環境発電(EH)は,充電と放電を繰り返すため半永久的に端末を交換する必要がないため自然へのダメージが小さくできる.その一方で,供給電力が小さく不安定なため,充電時間が長いことで通信期間が減少し,データ収集率が低下する.そこで,ERを用いた無線センサーネットワークのデータ収集率を上げる方法として,1)繰り返し送信する方式と2)送信電力制御による方式を検討した. 1)繰り返し送信する方式では,従来方式に比べて約30%の到達率向上が得られることを示した.2)また,送信電力制御による方式では,シンクから最大通信距離で1ホップの範囲をシンク近傍と定義し,シンク近傍内とシンク近傍外において異なる送信電力制御方式を提案した.詳細な評価は今後の課題となっている.以上の成果を国内外の学会で発表した.
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