本研究では、WEBサービスを不正利用するマルウエア(悪意の自動プログラム)を排除するために、人間の最も高度な認知処理能力の一つである「ユーモアを解する能力」を利用した究極のチューリングテストを構築し、4コマ漫画CAPTCHAとして実装する。近未来の技術を持ってしてもユーモアを解するレベルの自動機械(マルウエア)を実装することは不可能に近いと推測されるため、4コマ漫画CAPTCHAの攻撃耐性は極度に高いと考えられる。また、漫画を読むことは人間にとって楽しい(エンターテイメント性を有している)ため、4コマ漫画CAPTCHAであれば、正規のユーザが利便性の低下を感じることなく、心地良く(楽しみながら)チューリングテストを受けることができる。 本年度は、人間の「ユーモアを解する能力」を解き明かすための手掛かりとして、人間がいかにして大量の情報の中から面白いと思える点、または、不思議に思える点を無意識の内に理解するのかを検討した。具体的には、機械翻訳文書の中に含まれる「違和感」を利用したCAPTCHAを新たに提案し、基礎実験を行った。 また、近年では、CAPTCHAを攻撃する不正者は、CAPTCHAの解読に自動プログラムを使うのではなく、ネット上の一般ユーザを労力として活用するようになってきている(リレーアタック)。この場合、CAPTCHAを不正に(不正だと知らずに)解読するのは人間であるため、自動プログラムと人間を区別するためのCAPTCHAの限界が指摘されている。このため本年度は、リレーアタックに対する耐性を有するCAPTCHAについても研究を行った。
|