研究概要 |
本研究では,画像や形状がもつ各種属性およびその分布と,見る人の視線が対象の各部分に誘引される度合い(視線誘引特性)との関係を,定量的に解析し,描画技法や応用分野に依存しない一般的な視線誘引モデルを導出するとともに,CG・可視化・文書整形などに適用し,視覚情報伝達効率の飛躍的向上を図ることを目的としている. 本年度は,前年度に引き続き視線誘引特性の解析を進めるとともに,CGや可視化に関する複数の研究対象において,視線誘引特性とその評価の考え方を適用し,必要な情報をよりわかりやすく提示するための研究を進めた.その結果,以下の成果を得た. 1.文書整形への適用 発表用スライドの文字フォントの種類・サイズの選択や,オブジェクト配置に関して,視認性を定量的に評価する手法を提案した. 2.CGへの適用 視線誘引特性を考慮に入れることで,セルアニメ調CGの動作強調と陰影色設定,広角写真の非線形投影方法,自然なステレオグラムの作成,ハイブリッド画像による地図表示などにおいて,改善を図った. 3.大規模情報可視化への適用 文献参照情報の可視化,医薬品パッケージの類似度の可視化,船舶の航行情報の可視化,固定カメラによる長時間時系列画像の情報提示などにおいて,視線誘引特性を考慮した上で,可視化手法の改善と評価ならびに各種パラメータの最適化を行った. 4.形状処理への適用 美的曲線・曲線生成や,レリーフの作成などにおいて,視線誘引特性の考え方を用いた理論的解析を試みた.
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