研究概要 |
本研究においては,多関節構造を備えたロボットのための局所柔軟性変化と伸縮異方性を備えた柔軟センサ外装を実現する手法を明らかにすることを目的としており,特に,平成21年度には1)型温度制御による発泡密度変化と局所柔軟性変化の可能性評価,及び2)伸縮異方性とセンシングのための導電体ニット構造の埋込試作,に重点をおいて研究を行った. その成果として,1)の局所柔軟性変化に関しては,外部からの熱伝導が可能な薄い簡易樹脂型を用意し,ペルチェ素子と温度センサから成る型温制御装置を構成することで,発泡密度変化による局所柔軟性の制御の可能性を調査した.結果的には型温の変化による柔軟性変化はある程度認められるものの,薬剤を混合してから発泡するまでの時間が短いため,発泡時の外気温及び主剤・硬化剤比率による柔軟性変化への寄与の方が著しく大きいことがわかった.しかし,逆に混合前の薬剤温度を発泡活性の高い温度範囲に予め保ち,柔軟性を変化させる部位ごとに主剤・硬化剤の比率を変化させて順々に成形を行う,多層発泡成形により局所柔軟性変化を備えた外装構造が十分実現できることが確認され,その効果を小型ロボットの関節部を覆う部分外装において実証することができた. また,2)の伸縮異方性とセンシングのための導電体ニット構造の埋込試作に関しては,小型の試験片ウレタン構造による部分外装を試作し,そこでの評価を行った,その結果,編み物を埋めて一体成型する手法は,編み物の伸び特性がウレタンにより減じられるため有効ではないが,ウレタンを複数のセルに分割し,それらを編み物構造で接続する構造を取ることで,実際に成形したもので伸縮異方性を備えたウレタン柔軟外装を実現可能なことを確認した.また,センサとなりうる抵抗体の編み物構造に関しても同様に埋め込むことで主伸び方向に関して,伸びの影響を排除して圧力を検知可能であることを確認した.
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