研究概要 |
近い将来、医用画像の主流が単なる3次元画像から時間方向までも考慮した4次元画像へと大きく変革することを見越し、医用画像処理技術を飛躍的に向上させる「臓器の動き情報」を持つ人体計算:解剖アトラスである「ダイナミック人体アトラス」の設計と構築を目的として,以下の項目について検討した. (a)アトラス拡充 これまでに作成したアトラス入力システムを用いて患者間の差異を含めた「ダイナミック人体アトラス」 の拡充を図った。造影剤を注入して異なる時間で撮影した複数時相データから,胸部リンパ節アトラスおよび腹部アトラスを作成した。 (b)非剛体画像間位置合わせへの応用 「ダイナミック人体アトラス」を利用した非剛体画像間位置合わせ手法を検討した。胸部における肺や縦隔部,腹部における肝臓や脾臓,膵臓,腎臓の位置合わせに関して研究した. (c)画像診断支援・手術支援への応用 画像診断支援・手術ナビゲーションシステムにおける「ダイナミック人体アトラス」の利用方法を検討した.画像診断支援に関して,経過観察で撮影されるCT像における肺結節の時系列対応付け手法を開発し,約9割の精度で対応付け可能であった.また,腹部臓器認識に応用し,臓器の相対的位置関係の異なるデータに対して臓器認識精度が向上することを確認した,手術ナビゲーションシステムに関して,気管支鏡ナビゲーションシステムにおいて気管支の動的な変動に対応した気管支鏡追跡アルゴリズムを開発し,従来に比べて飛躍的に精度が向上した. (d)「ダイナミック人体アトラス」の評価 臨床的見地から胸部リンパ節アトラスの評価を行った。リンパ節の解剖学的部位が作成したアトラスにて適切に表現されていることを確認した。
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