研究課題/領域番号 |
21650041
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
三林 浩二 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (40307236)
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研究分担者 |
工藤 寛之 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 講師 (70329118)
斉藤 浩一 東京工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (00205668)
宮島 久美子 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 技術職員 (10516298)
荒川 貴博 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (50409637)
高橋 大志 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 特任助教 (20549943)
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キーワード | 化学エネルギー / 酵素 / 反応セル / グルコース / 隔膜 / 減圧 |
研究概要 |
平成21年度では、まずGOD酵素膜を隔膜として減圧デバイスを構築し、本デバイスの能動的な減圧特性を調べた。GOD酵素は生化学分析に用いられる一般的なタンパク質で、常温にてグルコースの酸化反応を行うことができる。グルコースの酸化反応において酸素を消費して、gluconic acidと過酸化水素を生成する。無機触媒では高温条件での反応が一般的であるのに対して、生体触媒では生体内の円滑な反応を行うことから、常温での触媒反応が可能で、特にGODは触媒反応の比活性が数百U/mgと際立って高く、グルコース分子の存在下で急速な触媒反応にて、大量に酸素を消費する。このGODによる高い触媒反応にて酸素ガスまでも消費することで、密閉セル内での減圧が可能となる。そこで、減圧システムでは、GOD酵素の固定化膜(GOD膜)を隔膜とし、セルの下部にグルコース溶液を送液し、セル上部に大気(もしくは酸素ガス)を充填して作製した。実際には、まずGOD酵素を親水性の多孔質膜に固定化したGOD酵素膜を、購入済のフロー型透析セル(FA-10)の隔膜として挟み込む。次に、作製したフロー透析セルの下部に、濃度の異なるグルコース溶液を送液する。また新規導入した「高感度デジタル微差圧計(0~±5kPa,±0.5%FS)」を上部セルに組み込むことで、セル内の減圧変化をモニタリングし、応答性やグルコース濃度に対する特性変化を調べた。実験の結果、セル下部にグルコース溶液を送液することで、上部セルの減圧が確認され、グルコース濃度に応じた減圧速度が得られた。本結果は、化学成分を認識してそのエネルギーを利用し減圧を導く、新規な化学-力学変換素子であり、本研究「自立的拍動輸送を行う送液チューブシステム」の可能性を強く示唆する成果である。
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