22年度では、前年度に得られた減圧特性の結果を踏まえ、減圧にて自立的に拍動するアクチュエータ・セルを構築した。これまでに、GOD酵素膜を隔膜として減圧デバイスを構築し、本デバイスの能動的な減圧特性を調べたところ、セル下部にグルコース溶液を送液することで、上部セルの減圧が確認され、グルコース濃度に応じた減圧速度が得られ、化学成分を認識してそのエネルギーを利用し減圧を導く、新規な化学-力学変換素子であることが示された。そこでこの機構をもとに自立的には駆動するアクチュエータの作製を進めた。 新規のアクチュエータ・セルにはGOD膜のほか、減圧により変形するダイアフラム、3個の逆止弁を取り付けた。これらにより、酵素反応での減圧にて溶液自体をセル内部に流入させ、減圧が一定圧に達すると3つの逆止弁を開閉することで、セル内部の溶液が送液された。これにより溶液の化学エネルギーを利用し、拍動による断続的な送液が可能となる。 開発では、GOD酵素膜及び可変ダイアフラムをセル内に一体化するために、(b)「セル作製用レーザー加工機」を導入し、セル上部と下部をプラスチック母材より加工成形すると共に、酵素膜の減圧による変形を抑える「メッシュ板」、可変ダイアフラムの過剰変形を抑制する「押さえ板」などを「レーザー加工機」にて作製した。また低圧で駆動する3個の逆止弁も高分子膜で作製し、セルへの一体成形を図った。 作製したアクチュエータ・セルについて、特性評価の実験系を構築し送液性能を調べたところ、自立的な拍動による溶液輸送が可能であった。
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