研究概要 |
平成22年度は,平成21年度の成果を受けて,印象に関する語り(内観データ)の関係構造から印象語に至る系列群を抽出し,それらを一般化することにより,タスクオントロジーとして整理した.これにより,感性表出タスクオントロジー(感性ONT)の構築を行った.具体的には次のようなSTEPで研究を推進した. (1)印象語(群)を帰結とする関係構造の抽出 平成21年度の研究によって得られた内観データの関係構造の中から,印象語(群)を帰結とする木構造上の系列を抽出した.そして,それらの一般化を試みた(ここで抽出された系列(群)は,感性ONT構築のための重要な手がかりとなった). (2)感性表出オントロジー(感性ONT)の構築 オントロジー構築方法の一つであるAFM(Activity-First Method)を参考に,本研究への適用を検討し,感性ONTの理論的背景を整理した.さらに,AFMに基づき,印象に関するドキュメントや語りないし内観データを構造化を試みた.AFMにおいては,タスクから見た対象世界に関する情報から,タスクの構造を抽出し,タスクからみたドメイン概念をタスクからある程度切り離して記述することで,タスクから見て必要な範囲の概念をドメイン知識として抽出することができる.したがって,ここでは先のアンケート調査で得られた印象についての記述に対してAFMを用いた,ここでのタスクから見た対象世界とは,その対象と個人との関係である. (3)感性ONTの妥当性の評価 印象評価実験を通して本研究で作成した感性ONTの妥当性に関する評価を行った.その成果は,美的感性に関するオントロジー構築,およびケアプラン作成過程における暗黙知と心的状態の記述に応用することができた. 感性表出オントロジーのより一層の一般化は最終年度の重要課題である.
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